実用的な樹
風が吹くとパタパタと音を立てる棕櫚の葉。その下に咲く花はグロテスクな形をしています。
まるで「粟おこし」のような呈をしています。
棕櫚は、田舎の農家の庭先には植わっていることが多く、成長が遅く寿命が長いため、以前に古老から「隣地との境界線の目印に植えられていた」と聞いたことがあります。
樹自体は美しくもないが、田舎では実に実用的な植物なのです。
葉は裂くと紐として活用でき、幹の表皮は糸状態なので縄や箒に加工し、よく使いました。
今は工業製品にとって変わりましたが、田舎の自然のものを上手く活用する術は学ぶところが多いのです。
街中の子どもにはイメージできないことが田舎では小さい時から自然のものを上手く活用する体験ができる魅力があります。
人知れず 咲き誇るかな 棕櫚の花 (呆悦)