片田舎にもグローバル化の歴史
仕事の途中で「フナメ」を見つけました。
桑の木の実(マルベリー)です。丹波ほっこり農園の付近には随所に桑の木が生えています。
昭和30年代の中頃までは畑は桑の木ばかりでした。桑の木が多いのは、それの遺産なのでしょう。
桑の木の葉は「蚕さん」(この地域では尊敬の意を込めて皆そう呼んでいました。)の食料です。
その果実「フナメ」は、子供のおやつでした。余談になりますが、熟したフナメは濃い紫色で熟女の乳首によく似ています。
蚕さんが口から吹き出す繭から生糸を生産していたのです。いわゆる養蚕です。
由良川水系の農村には桑畑が拡がりました。水害に強く農家の茅葺きの家の中で蚕さんを飼うことができたからです。
蚕さんを飼うときは畳を上げて、蚕棚を作り子育てのように大切に育てたものでした。
綾部に「郡是」が誕生したのは、この地域資源があったからです。
しかし、新しい繊維が外国から入るようになり、次は葉タバコを生産します。
私がたばこ好きになったのは少年時代に葉タバコに馴染んでいたからでしょう。(私は二十歳までは吸ってはいません。)
しかし、これも昭和40年代後半には諸外国から安価な葉タバコが入るようになり、現在の葡萄に転換します。
こんな片田舎にもグローバル化の波に翻弄された歴史があるのです。
それから40年この地域は細々と葡萄の栽培を続けてきました。
これからはグローバル化に打ち勝つ葡萄づくりが必要です。
先輩農家が育てこられた葡萄を後世に引き繋いで、さらにおいしいといわれる地域ブランドに育てていかねばと「フナメ」を久しぶりに食べあらためて思ったものです。
桑の実や ブラウス白し 谷深し(呆悦)