イドコの中の一日。
竹だけで編んだ農作業用の籠をこの地方では「イドコ」と呼んでいます。
私の幼少の時には天秤棒で2つを前後に吊り下げ農作物や肥料などを運んでいました。
保育所もない時代で、母親に連れられて田圃に行き母親が仕事をする間、このイドコの中に入れられ、ずっと仕事の終わるのを待っていました。
たぶん3歳ぐらいの時だと想像しています。
狭いイドコの中に何時間も入れられいると動いて外に出ようとします。
ある日、棚田の畦道に置かれた私は動いてしまいイドコとともに10メートルぐらい棚田の道を転げて、大きな岩にせき止められ停止。大きなけがはしなかったものの、途中で頭や顔を打ち付けていました。
そのせいで頭と顔がおかしくなってしまいました。
そんな61年前のことを思い出す「イドコ」です。
先日、畑の近くの篤農家のおじさんが「このイドコを使わないか?」と言われ、是非にと頂いたものです。
こんな時代を感じる代物を今まで残していた篤農家の篤農家と呼ばれる由縁を再認識するとともに、3歳のつらいことを思い起こした「イドコ」の話しです。
一足前に 春告げる メジロ翔ぶ(呆悦)