丹波ほっこり農園Blog

三和ぶどう、野菜、養蜂、加工食品

黒豆を「扱く(こく)」


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おせち料理に欠かせない黒豆。

年末に出荷するために作業に入りました。

枝に付いた豆を落とすために、無数の掛が取り付けてある木製のドラムを足で踏んで回転させ穀物を扱く(こ)く「イナコキ機」(写真左)を使います。

そして、鞘と一緒になった豆を選り分けるために、板でできたファンの如しを手で回し、鞘やごみは吹き飛ばし、黒豆だけをトレイに落とすふるい機能の「唐箕(とうみ)」(写真右)を使います。

いずれも人力農具で、骨董品クラスの代物です。

近所の農家の蔵に保管されていたものを拝借されてもらいました。

人力なので時間と労力は掛かりますが、懐かしさで疲れを忘れさせてくれます。

昭和40年代まではどこの農家にもなくてはならない必須のアイテムでした。農繁期には家族総出でイナコキやマメコキをしたものでした。

この作業で選別された黒豆を次に、くず豆を取り除く作業をして、大きさを揃えてやっと出荷できます。

大規模農家では全て近代的な農業機械で処理しますが、全ての作業を木製の農具でこなすことによって、何となく温もりがあり、やさしい味のある商品になるのではないかと思っています。

正月には、丹波ほっこり農園の丹波の黒豆をご賞味頂き、元気に暮らせる新年にしていただけるよう年末まで作業に励みます。

  極月や 豆をこく間に 雪積り (呆悦)

 

般若心経の写経


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株式会社横田石材(丹波ほっこり農園の母体)の朝は、般若心経を従業員全員で唱えることから始まります。

本業がお墓の仕事をはじめとする石材業のため、朝一番に般若心経を唱和して煩悩を振り払い清清しい気持ちで仕事に臨みましょうとする意図から始まったのでしょう。

280字の短いお経ですが毎日、有り難く唱えることで詳しい意味合いは分かりませんが、何となくお釈迦様が唱えられた意図らしきところが浮かんできます。

毎日、唱えていれば、暗記してしまいますが、どんな漢字で表現されていたのかは忘れかけます。そこで、暇な夜に写経をすることにしました。

写経は何十年振りの経験でしたが、書いてるうちに、なんだか心がすっうと鎮まるのを覚えました。

不思議な経験です。

漢字表記はサンスクリット(梵字)を表音で漢語に訳していますので、意味が分からない漢字もありますが、ざっくりいえば「無」の境地の世界に導いてくれるお経なのでしょう。

先日のブログでギンナン20個を食べた時の体の変調を報告いたしましたが、あの時のような煩悩があってはならないのです。

あくまでも「無」の境地。しかし、この境地まであと20年はかかりそうです。

煩悩の多き六十代です。

 

 筆下ろす  霜深々と 野を染めし(呆悦)

何処を住み処とすべきか


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住む場合の選択として都会の便利さと田舎の自然の豊かさを求めるのか。

居住地を決める場合、実際には職業の選択で決まることが多いと思います。

バブル時には週末には都会から離れて別荘で過ごす二拠点居住生活がもてはやされましたが、今や二つの家を構えることもなかなか経済的には難しい世になっていました。

そこで何をもって居住地を決めるのか。都会の便利さや田舎の自然の豊かさだけを判断基準とすることは少し危険な感じがしています。

とはいえ、昔からのしがらみで居を構えたら、そこから離れることは新たなしがらみも生まれ、ほとんどの人は移住することは不可能になるのが現実でしょう。

もし、移住ができる環境にある人が居住先を決める際には、その市町村の財政状況をよく観察しておく必要があるのではないでしょうか。

老後に収入源もなく、税金や国民健康保険料が高くて、生活保護を受けなければ暮らせないようになってはどうしようもありません。

 先週、平成26年度の府内の市町村の決算状況の発表が新聞に載っていましたが、公債比率

や経常収支比率など借金や義務的経費が高いところは今後、大丈夫なのかと不安になります。

成熟社会ではカネを掛けてあまり派手なことをやってもらうより安定した財政運営をしっかりやってもらいたいと思います。

選挙は、もう少しこの観点から選挙のための人気取り施策がないか、無理な財政運営をしていないかなどを冷静沈着に見た投票行動を期待したいです。

我々世代や次世代のために。

樹を育てること


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葡萄園の持ち主が不在時がちにて、葡萄の樹を管理できないので、その葡萄園を丹波ほっこり農園が改殖して新たに開設することになりました。

草ぼうぼうの葡萄園が、約2日できれいな葡萄園に生まれ変わり、後は新たな葡萄の苗木を植付けるだけになりました。

この冬に植付けた葡萄の樹が本格的に葡萄の房を付けるのは5年後ぐらいになりそうです。

そんな先には生きていられるかどうか分からないのですが、新たな品種の葡萄ができるのが楽しみです。

ところで、先週の土曜日に京都市内で毎年開催されている京都府農林水産フェスティバルを向学のため、覗いてきました。

府内の農業・林業水産業とそれぞれの加工業の方が一堂に会して自慢の産品を展示販売する集いです。

会場に入ると、お客さんの多さと産品出荷者の掛け声で熱気に包まれています。

特に水産、農業の各ブースは誘客の掛け声が大きく人だかりになっています。

しかし、何となく静かな一角があります。

林業関係の加工業、木製品の椅子とか文房具などを造り販売しているブースです。

農林水産業といえど、それぞれの業に専念されている人の生き方には随分、違いがあると

以前から感じていましたが、今回も改めて感じました。

農業は毎年、毎年の作物の植付け、育成、収穫の繰り返し。

水産業、漁業は捕れるかどうかは天、海任せの博打的要素の仕事。

そして、林業は植林して、枝打、下草刈りを数年すれば、樹が成長するのを待つのみ。

そんな仕事の性質から販売スタイルにも形が現れます。

林業コーナーのブースは誘客の働きかけもなければ掛け声もない。

愛想を振りまくでもなく、ただただ目の確かなお客さんを待つだけです。

何十年、三世代も先を見越して植林する林業の世界とその木材を材料にモノを造る木工の仕事。

いまでは儲かる仕事ではなくなりましたが、目先の利益を考えず、いい材を使いいいシゴトをし、永くお客さんに愛される品物を提供するスタイルは昔から綿々と継承されています。

愛想を振り撒き、普通のモノをより良いモノに見せかけるディスプレイやラッピングなどの流行るなかで、変わらぬスタイルで構えるブースに何気なしに清清しさを感じました。

今、世間では、静かな名木探検ブームが興っています。

最近では日本一高い62.3㍍の京都・「花背の三本杉」が話題になったりしていますが、「樹」を育てるという壮大な時間軸を再認識した今日この頃です。

    小春日和 木の温もりの ベンチかな(呆悦) 

 

過ぎたるは猶及ばざるが如し


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この料理にはこの食材が合うとか、この薬味を加えれば美味しくいただけるとか料理のレシピには書かれています。

それぞれの食材には特徴があり、昔から言われてきた効用が、最近では科学的な分析で含有される栄養素が示されるようになりました。

現在、生姜を出荷しておりますが、生姜はジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンなどの要素が含まれており、体を温めるなどの効果があります。

生姜の出荷は収穫後、ついている土を水で洗い流します。この季節は寒さに耐えながらの水仕事になりますが、ショウガを料理に少し入れると汗が出るくらい体が温まり、季節外れの寒さも凌ぐことができます。

一方、銀杏にはカロテン、ビタミンC、デンプンなどに加え、カリウムマグネシウムなどのミネラルを多く含み、栄養豊富な食べ物です。

先日、食べ過ぎは良くないとのことはわかっていながら、封筒に入れレンジでチンしてついつい20粒程度も食べてしまいました。

すると、夜中にここ10年ぐらい忘れかけていた感覚の堅さの異物を褥の中に感じてしまい、目が覚めました。

それぞれの食材にはそれぞれの効用があり、過度の食べ過ぎは、後で苦労します。

しかし、生姜も銀杏もこの季節の食材としては、最高の恵です。

  銀杏の エメラルド色に 弾けたり(呆悦)

大きいことは・・・

 

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葡萄園にシイタケのホダギを設置していたところ、赤ちゃんの顔より大きいシイタケができていました。

こんな大きなシイタケは見たことがありません。

高度経済成長期は何でも大きいものが選ばれました。

しかし、今や核家族化や少子化の影響で、何かにつけて、こじんまりとしたものが好まれます。

農作物の商品を売り出す場合でも、目方の大きいのは売れにくくなり、小さな単位で出荷した方が売れ行きが良いことを痛感します。

量より質、大きさより機能性の時代になりました。

それでも昭和時代生まれの者は、大きさや嵩だかに目が向きます。

哀しい性です。

  ラジオ鳴る 放射冷却 の夜明けり(呆悦)  

 

「丹波黒」づくり


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正月のおせち料理に欠かせない黒豆。

「まめ」は一年間、元気に暮らせること。

その願いの意味を込めて黒豆がおせちの一品に加えられたようです。

10月中旬から11月上旬まで枝豆として直販しましたが、畑には鞘が黒ずんできた黒豆が残りました。

そこで、丹波の黒い宝石「黒豆」づくりのため、刈取り陰干しを始めました。

年末には店頭に並べられるよう乾燥、選別の作業が期間内にできるかがポイントです。

黒豆の煮豆づくりは手間が掛かりますが、「美味しいもの」を食べるには、何事も「まめ」が重要です。

 

 まめ食めば  丘の紅葉も 色付きぬ(呆悦)