人生を語る掌
農業に従事して早くも三年目になりました。
毎日、土や草に触るのでよく見ると指先の指紋には土色の染みが刷り込まれ、掌全体が
ゴツゴツとした逞しい雰囲気になってきました。正直言って汚いなぁと思います。以前はペンダコで中指の先が盛り上がっていて、わりと綺麗な掌でした。
先日、ある同年輩の男の人と握手をする機会がありましたが、なんと柔らかいものだなぁと感じました。
半世紀も同じ仕事をしていると、この人は営業マン、この人は大工さん、この人は公務員とか、握手をしただけでその人の職業がわかることもあるのではないでしょうか。
それに加えて顔つきをみれば、より確実になります。
それだけ顔と掌は人生そのものを語っているのではないでしょうか。
顔の形状は不細工と言われようと、顔の表情と掌に自信をもって、これからも農業に従事していきたいと思います。
しかし、美しい女性に握手を求められたら、ほんの少しだけ躊躇する自分を想像します。
しわがれの わが掌に 夏陽落つ (呆悦)